卵子と精子、どちらが不妊になりやすい?

妊娠する力のことを「妊孕性(にんようせい)」というのをご存じですか。

卵子は加齢によって妊孕性が低下する(妊娠しにくくなる)事実について世間でも知られるようになりました。しかし精子も加齢に伴って妊孕性が低下する点については、ご存じない方がいるのではないでしょうか。

本記事では、以下について説明します。

  • 妊孕性とは
  • 卵子と精子で妊孕性にちがいがある
  • 妊孕性の低下を防ぐには

卵子と精子に関する妊孕性の特徴やちがいを理解して、妊娠・出産に関するライフプランを立てるためにお役立てください。

卵子と精子の違い
もくじ

妊孕性とは

「妊孕性(にんようせい)」とは、簡単にいうと妊娠する力のことです。妊娠するために必要な臓器と機能、配偶子(卵子や精子)について指します。

妊孕性に影響するものは以下のとおりです。

 女性男性
臓器子宮・卵巣精巣
配偶子卵子精子
機能排卵射精・勃起
(引用:日本がん・生殖医療学会「妊孕性について」)

男性・女性ともに妊孕性には多くの要素が関わるとわかります。

卵子と精子で妊孕性にちがいがある?

卵子と精子の妊孕性は異なります。卵子と精子のちがいを理解するために、それぞれの特徴や妊孕性について見ていきましょう。

卵子

卵子は女性の卵巣の中に存在します。卵子のもととなる細胞(卵原細胞)は、生まれる前に一生分作られていて、その後は増えることがありません。年齢とともに数が減少し続けます。

卵子の妊孕性については、卵子の数と質、両方の側面から考える必要があります。

卵子の数

以下のグラフで、女性の年齢変化に伴う卵子数の変化について示しました。

卵子の数

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  • 生まれる時・・・200万個
  • 思春期・・・20~30万個
  • 閉経時・・・1,000個ほど

卵子のもととなる「卵母細胞」は生まれる前に一生分作られていて、その後は新たに作られることがありません。妊娠12週頃の数が約600~700万個と最大で、その後は減少し続けます。

卵巣内に残る卵子の数の目安を「卵巣予備能」と呼び、数十倍の個人差があるため、閉経の年齢にも大きな差があるのです。

卵子の質

卵子の妊孕性では、卵子の質についても考える必要があります。生まれる前に作られた卵子は、女性が年齢を重ねるごとに老化します。

卵子の加齢で起こる妊娠への影響は次のとおりです。

  • 受精率の低下
  • 胚発育の悪化

「学術の動向」では「自分の卵子」と「若い女性から提供された卵子」をそれぞれ使用した体外受精による、年齢に応じた妊娠率の変化が示されました。

(引用:学術の動向|「卵子の老化」説から考える年をとることへの恐れと生殖医療技術の拡大の関係

自分の卵子では35歳以降の妊娠率低下が明らかですが、若い卵子を用いた体外受精ではほぼ妊娠率が低下していないという結果が出ています。

つまり、妊娠する確率には卵子の年齢の影響が大きく、年を重ねた卵子は妊娠する確率が低下するといえるのです。

(参考:学術の動向|「卵子の老化」説から考える年をとることへの恐れと生殖医療技術の拡大の関係

精子

新たに作られない卵子と異なり、男性の精巣では約74日周期で生涯精子が作られます。常に新しくなることから、精子は卵子に比べて加齢による影響を受けにくいとされているのです。

しかし実は35歳を過ぎたころから精子の量や運動率は低下します。日本生殖医学会には、30歳代から50歳代になった際の精子に関する変化が以下のように記載されています。

  • 精液量…3~22%減少
  • 精子運動率……3~37%減少
  • 精子正常形態率……4~18%減少

上記の結果から、精子の妊孕性も加齢とともに低下するといえるのです。さらに50歳を過ぎた精子では遺伝子異常が起こりやすいとの報告もあり、男性の年齢に関しても若い方が妊娠に適しているといえるでしょう。

(参考:一般社団法人日本生殖医学会「般のみなさまへ – 生殖医療Q&A」)

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妊孕性の低下を防ぐには

精子と卵子の妊孕性は、加齢や病気、がんの治療などの他、普段の生活習慣も影響するといわれています。加齢に伴う影響は避けられませんが、無理のない範囲で生活を整えられるとよいでしょう。

取り入れると良い生活習慣例について以下に示します。

  • 適正な体重
  • 適度な運動
  • 身体を冷やし過ぎない(女性)
  • 精巣を熱しすぎない(男性)
  • ストレスコントロール
  • バランスの良い食事
  • 危険ドラッグや有害物質を避ける
  • たばこやアルコールの制限
  • 婦人科を受診する

(参考:妊活ながの「妊活について」)

(参考:AMH普及協会「不妊症セルフチェック ~男性編~ – 不妊症セルフチェック」)

(参考:新潟大学医学部産科婦人科学教室「生殖内分泌」)

 ご自身の妊孕性について不安がある場合には、婦人科に相談することをおすすめします。詳細な検査のうえ、妊娠に影響する病気などがないかをチェックしてもらえます。

女医(妊孕性)

卵子と精子の妊孕性低下が気になったら婦人科に相談しよう

卵子は女性の加齢に伴って数や質が低下するため、年齢を重ねると妊娠しにくくなります。

一方精子は74日ごとに生成されるため、年齢による影響が女性より少ないと考えられます。しかし精子に関しても加齢に伴う数や質の低下について報告されていて、妊娠の可能性を高めるには若い方がよいといえるでしょう。

ご自身の妊孕性について不安があったら、婦人科に相談しましょう。現時点での妊娠に関するリスクや健康状態がわかり、早いうちに対策できるメリットがあります。

ご自身に合ったライフプランを立てるためにお役立てください。


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