いずれ妊娠出産を希望する方が受けるブライダルチェック。
興味があっても「忙しくて病院に行くひまがない」「周囲に結果を知られたくない」などで、受けられない方がいるのではないでしょうか。
本記事では以下を説明します。
- ブライダルチェックとは
- ブライダルチェックは病院や自宅で受けられる
- おうちでできるブライダルチェックのメリット・デメリット
- おうちでできる最新ブライダルチェック項目
妊娠出産に備えるために、お役立てください。
ブライダルチェックとは
ブライダルチェックとは、将来妊娠や出産を希望する女性やパートナーが受ける、ヘルスチェックのことです。
「ブライダル」と名前がついていますが、相手がいない方でも受けられます。
妊娠に向けてのリスクがないかどうかをチェックして、将来妊娠する方法(自然妊娠でよいのか、積極的に治療に進む方がよいのか)を考える目安にしたり、予防接種をしたり、病気が見つかった場合には治療したりします。
ブライダルチェックは法律で決められた呼び名や検査ではありません。そのため、名称やチェック項目は医療機関ごとに異なります。検査項目例を以下に示します。
- 性感染症
- 血液検査
- 超音波検査
- 子宮がん検診
ほかにも独自の検査を組み込んでいるところもあるため、具体的な検査項目や費用を見て比較するとよいでしょう。
ブライダルチェックは病院や自宅で受けられる
ブライダルチェックには、病院で受けるものと、自宅で受けるものがあります。
どちらも症状がない方向けの検査であるため、病院で受ける場合でも医療保険がきかず、自費であることに注意しましょう。
お住まいの自治体によっては、検査項目の一部に補助が出る場合があります。費用を安く抑えたい方は自治体の健診などを確認しておくとよいでしょう。
おうちでできるブライダルチェックのメリット・デメリット
自宅で受けるブライダルチェックには、複数のメリットがありますが、デメリットもあります。それぞれについて押さえたうえで、検討するとよいでしょう。
メリット
自宅で受けるメリットを示します。
- 病院に行かなくてよい
- 匿名で検査できる
- 病院でするより費用が安い
一番のメリットは、忙しくて病院が開いている時間に行けない方でも、自由に検査できることです。検査キットは、パートナーと同時に受けると割引になるものがあります。パートナーも自宅で受けられるので、気軽に2人で受けたい場合におすすめできるのです。
また、多くの検査は匿名で受けられます。結果について周囲に知られたくない方にもよいでしょう。病院で受けるブライダルチェックより安価なものが多いため、費用をおさえたい場合にも適しています。
デメリット
一方、以下のようなデメリットがあります。
- 検査結果以外のことがわからない
- 治療には病院に行く必要がある
病院だと検査の際に別の病気が見つかることがありますが、自宅で受ける検査の場合にわかるのは、検査項目の結果だけです。
また、万が一病気が疑われた場合には、別途病院を受診して、検査や治療を受ける必要があります。「最初から病院に行けばよかった」と思う可能性もあるでしょう。
上記のように、メリットとデメリットがあるため、ご自身の状況にあわせて選びましょう。
おうちでできるブライダルチェックの種類
自宅でできるブライダルチェック項目の例を示します。
- 血液検査
- 膣検査
- 尿検査
自宅では、超音波検査や診察ができません。検査で異常が疑われた場合には、自分から病院を受診して再度検査や治療を受ける必要がある点に注意しましょう。
何かしら自覚症状がある方は「ブライダルチェック」ではなく医療機関の婦人科を受診しましょう。
おうちでできる最新ブライダルチェック
ここからは自宅で受けられる、以下のブライダルチェックについて紹介します。注目されている新しい検査もあります。
- AMH検査
- 膣内フローラ検査
- その他性感染症検査
検査の特徴について1つずつ見ていきましょう。
AMH検査(抗ミュラー管ホルモン検査)
卵子は、各人ごとに在庫数が限られていて出生後新たにつくられることはありません。卵子の在庫数は、胎児期に最大であり出生後は徐々に減っていきます。卵子の在庫数には個人差があり、AMH検査という血液検査によって卵巣に残っている卵子の数を調べることができます。検査時点での妊娠しやすさを推測できるため、不妊症の検査項目にも含まれます。
値が低い場合には、自然妊娠を目指すのか、不妊治療を考えるのかを判断する目安にもなります。
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膣内フローラ検査
膣や子宮内の環境が、妊娠や出産に適しているかどうかを推測する検査です。
「フローラ」は別名「細菌叢(さいきんそう)」とも呼ばれ、膣や子宮内に生息する膨大な数の細菌の集合体を指します。子宮内フローラに善玉菌(良い働きをする菌)が少ないと、妊娠率の低下や着床障害(受精卵が子宮に定着しにくくなる状態)につながることが報告されて、医療機関での検査数が年々増加しています。
子宮内フローラ検査は、一部の医療機関でしかできませんが、膣内フローラ検査は自宅での実施が可能です。膣と子宮はつながっているため、膣内フローラ(細菌の分布)検査によって子宮内フローラを推測できるとされています。医療機関を受診できないけれど子宮内フローラを調べたい方によいでしょう。
検査で細菌のバランスが乱れているとわかれば、細菌性膣症の可能性も考えて病院の受診につながります。細菌性膣症は、流産や早産のリスクを上昇させるため、妊娠前にわかって早期治療できる点を考えても、検査する意味があるといえます。
細菌性膣症でなかったとしても、膣内フローラが乱れがちだとわかった場合には、効果が報告されているラクトフェリンの摂取や生活習慣の見直しなどについて検討できます。
※ラクトフェリン:乳や涙、唾液、血液などに存在する、感染防御に必要なたんぱく質
(参照:日本性感染症学会誌「性感染症 診断・治療 ガイドライン 2016」)
その他性感染症検査
性感染症は、血液検査と膣内検査によって自宅でチェックできます。
性感染症によっては、自覚症状がなくても、不妊や早期流産、胎児への感染などの悪影響を及ぼす可能性があります。性感染症にかかっているとわかった場合には、パートナー同士でうつし合って再発するのを防ぐために、2人そろっての治療が必要です。妊娠前にわかれば余裕をもって治療できるでしょう。
性感染症の検査項目例を以下に示します。
- HIV
- 梅毒
- B型肝炎
- C型肝炎
膣検査
- クラミジア
- トリコモナス
- カンジタ
- 淋菌
- 子宮頸がん
血液検査も膣内検査も、キットに含まれる検査器具を用いて自分で採取できます。
忙しい人におうちでできるブライダルチェックがおすすめ
ブライダルチェックは、妊娠出産を希望する方にとって、ご自身の状況や妊娠に関するリスクがわかるなどのメリットがあります。治療が必要な病気や予防接種の必要性がわかれば、事前に備えるのも可能です。
また、妊娠する気持ちが整った際には、自然な妊娠を待つのか、治療を積極的に考えた方がよいのかなどの判断材料にもなるでしょう。
病院で行うチェックは充実していますが、忙しくて受ける暇がない方もいるでしょう。そのような場合には、自宅でできるブライダルチェックも選択肢の1つです。さまざまな検査キットがあるため、受けたい項目などを比較して選びましょう。
妊娠出産に向けた準備にお役立てください。